ご先祖様と一緒にお念仏/令和5年11月の法話
【担 当】 尾原昭悦 師 〔愛知県西尾市 養林寺 住職〕
【御 題】 「ご先祖様と一緒にお念仏」
自坊は小さなお寺「養林寺」です。大きな台風や地震がきたならば倒壊してしまうのではないだろうかと心配がつきない、建立より250年の本堂です。昔は本寺の養國寺様の御住職様が隠居される養林庵と呼ばれる場所であったとも伝え聴いております。
墓地には宗派関係なく町内外の方々のお墓があります。自坊の行事は「お施餓鬼」と「お盆の墓施餓鬼」のみです。ふたつの行事は近いのですがありがたいことに檀信徒様と自坊にお墓のある方、また、ご縁のある町内の方などがお参りくださいます。
このようなお寺ですが 大切な寺宝がたくさんあります。その中のひとつに 江戸時代の涅槃図 があります。青い色が多く使われた丁寧に描かれている涅槃図ですが、時を経てかなり傷んでしまったようです。昭和15年、祖父の代に養林寺に縁のある町内外の多くの方がご先祖様供養とともに修繕を施してくださいました。
その後、父が年に一度内陣にかけておりましたが、塗り部分がボロボロとなり 平成30年に再度母と二人で修復させてもらいました。その折、組寺の崇覚寺様が舎利讃を教えてくださることとなり養林寺で涅槃図を観ていただき舎利讃を聴いていただく催しを開催する運びとなりました。
涅槃図の後ろに記載されておりました修復に携わってくださった方の子孫の方をお誘いしようと考えたのですが、母と私ではわかりません。すると町内の長老の方が率先してご協力くださり、子孫の方が判明していきました。
「ご先祖様が修復に携わってくださった涅槃図をぜひ観にきてください」と子孫の方々個別にお誘いしますと「ぜひ、お参りさせてください」とおっしゃっていただきました。
涅槃図・舎利讃披露の当日、雨が降ったりやんだりのあいにくの天気でしたが次から次へと皆さんおいでくださいました。小さな倒れそうな本堂が満堂となりました。皆さんお釈迦様のお話、絵解きに耳をかたむけ涅槃図をじっくり観てくださいました。
そして舎利讃をお聴きくださいました。お集まりくださった皆さんは、現在の自坊の行事にお参りくださっている方々であることに気づきました・・・ これほどご縁に感謝したことがあったでしょうか。
仏様が紡いでくださったご縁であります。
おわりに、皆さんいっしょに十念をお称えしました。満堂のお参りくださった皆さんでお称えしたお念仏は、養林寺安置の仏様方、修復に携わってくださったご先祖様、またそのご先祖様、養林寺歴代上人様 縁の皆さまに想いを馳せ 堂内に響きわたりました。自分も含め、お参りくださった方々が温かい空気に包まれたようにも感じました。
きっときっとご先祖様もお念仏くださった・・・
そんな確信できる瞬間でした。
私は、これからも手を合わせ「南無阿弥陀仏」と阿弥陀様、ご先祖様に感謝の念仏をお称えする、明るい信仰の日暮らしを実践し、伝えてまいります。
このたび、当布教師会より法然上人800回大遠忌記念事業として法話集「法然さまからのお手紙とお歌」を出版いたしました。
法然さまが「黒田の聖人(ひじり)」に宛てた一紙小消息を、管長猊下お手ずから、わかりやすく現代の言葉に置き換えていただき、それを一区切りづつ布教師会の布教師がお説教として書き下ろしました。 また法然さまの代表的なお歌を八首取り上げ、それをテーマとしたお説教も掲載しております。
この本のお求めは、≪総本山誓願寺公式サイト「出版書籍のご案内」ページ≫ よりご購入いただけます。(一部1,000円税込/送料別)
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