平成26年4月の法話/櫻間観洲師
【担 当】 櫻間観洲 師 〔愛知県蒲郡市 利生院 住職〕
【御 題】 「瞋恚」
三毒の煩悩についてお話します。
私たちの心の中には、貪欲、瞋恚、愚痴という三毒がすみついていると言われます。
先回、貪欲について、小欲知足のお話をしましたので、今回は、瞋恚についてお話します。
瞋恚とは、腹を立てて怒ることです。 怒ると副腎からでるアドレナリンの働きで、血圧が上がり血液中の糖分が増して身体に悪影響を及ぼすそうです。
爺様の私がテレビで相撲を見ていて一向に動こうとしない。 孫は六時から別の番組を見たいから「もう六時だよお爺さん」と小声で言った。 耳が遠くなった私は「もうろくじじい」と聞こえたからたまりません。 「オレを馬鹿にしやあがって」怒り立つ。 孫は泣く。 母は「まぁこの子がもうろく爺と言ったのですか」と泣いて謝る。 家の中は大騒ぎでした。
ぐっとツバを飲み込んで考えてみれば、私が腹を立てるような事でもない。 なんと愚か者とわが身を懺悔して謝る。 「怒ってすまなんだ、すみません」と頭を下げるのが仏法を頂く者の生き方でしょう。
先日、入院中の友人を見舞った時、友人の隣のベッドに九十才のお婆さんが足を骨折して横たわっておられる。 入院して三日目ですが、「もうここに居るのは嫌だ家に帰りたい」と叫んで、私に家まで送ってくれと言う。
ベッドから一歩も歩けないお婆さんです。 どうして家まで送れましょうか。 いろいろとお婆さんを慰めましたが理解してくれません。 すると今度は看護師さんをブザーで呼び寄せ「家へ送れ」と繰り返す。 看護師さんは困って仕方なく家へ電話しました。
間もなくお嫁さんと思われる女性が勢いよく、目をつり上げて、お婆さんの所へ近づくや、「歩けもせん者が何言ってるの、我儘もいい加減にしなさい、一人で家の留守居番をしている私の身にもなってごらん」と言ったかと思うと、お婆さんの頬に平手打ちが二度、三度ととんだ。 世の中にはすごいお嫁さんがいるものだなと驚きながらもその中に入って話を聞くと、この女性はお嫁さんではなくてお婆さんの娘と知りました。 娘が実母をなぐる理由も理解できましたが、母に暴力はいけません謝りなさいと諭しました。 しかし何ともやるせない気持ちでいっぱいでした。
お釈迦様は「一人一日八万四千の念あり、みなこれ三途の業なり」と説かれ、地獄、餓鬼、畜生道の種まきばかりの私に「さればお念仏によって礼讃清浄の水で罪業の垢を洗うべし」とお示しになっておられます。
十念
このたび、当布教師会より法然上人800回大遠忌記念事業として法話集「法然さまからのお手紙とお歌」を出版いたしました。
法然さまが「黒田の聖人(ひじり)」に宛てた一紙小消息を、管長猊下お手ずから、わかりやすく現代の言葉に置き換えていただき、それを一区切りづつ布教師会の布教師がお説教として書き下ろしました。 また法然さまの代表的なお歌を八首取り上げ、それをテーマとしたお説教も掲載しております。
この本のお求めは、≪総本山誓願寺公式サイト「出版書籍のご案内」ページ≫ よりご購入いただけます。(一部1,000円税込/送料別)
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