平成25年3月の法話/櫻間観洲師
【担 当】 櫻間観洲 師 〔愛知県蒲郡市 利生院 住職〕
【御 題】 「少欲知足」
仏典に「人間の苦しみや悩みは、欲や執着心が原因となっているから少欲知足でありたい」という教えがあります。欲しい欲しいという欲望を少なくして、足りていることを認識しようという事です。
欲しい、足らないという意識が煩悩(ぼんのう)をおこします。いつも不満を言い怒っていたら血圧も上がり人相も悪くなり長寿は難しいと思います。毎日、三度のご飯が頂けて、温かい布団で寝られて、動ける体があります。これは当り前の事ですが、多くの人々は、その事に有難うと言えず相変わらず不足を言います。いくら恵まれても有難うと言えないのが私共人間なのでしょうか。私は今の暮らしが十分に足りていると満足して、自然に合掌して歓びの念仏が唱えられるよう努めています。
ある檀家のお婆さん「私、昨年家の身代を全部息子夫婦に渡しましたので、今後は若い者が寺のおつき合いをさせて頂きます」と言って帰られた。後日その家の法要でご回向を終えて帰りの挨拶をすますと、嫁さんが、「おっさん待ってください」部屋へ入って行きますので、「ああ、お布施をくださるのだな」思い待っていますと、お婆さんが嫁の後を追うようにして部屋に入って行った途端「お布施は支度してあるか」 「はい」 「いくら入れたや」 …私はえらい事を聞くなぁと思っていると、嫁がボソボソと小さな声で「これこれです」と、するとお婆さん大きな声で「そんなに入れんでもええがやぁ、一枚抜いておけ」。
昨年、身代を渡し何もかも若い者に任せたはずのお婆さん、欲と執着心のせいでしょうか、任せられないのが凡夫の私共ですね。高齢の私は、お婆さんの言動を他人事と笑っていられない心境でした。
少欲知足とはよくはほどほどにして、今の生活に満足する。そして今ある命に感謝して落ちつきある、ゆったりとした生活をしなさいと教えています。
十念
このたび、当布教師会より法然上人800回大遠忌記念事業として法話集「法然さまからのお手紙とお歌」を出版いたしました。
法然さまが「黒田の聖人(ひじり)」に宛てた一紙小消息を、管長猊下お手ずから、わかりやすく現代の言葉に置き換えていただき、それを一区切りづつ布教師会の布教師がお説教として書き下ろしました。 また法然さまの代表的なお歌を八首取り上げ、それをテーマとしたお説教も掲載しております。
この本のお求めは、≪総本山誓願寺公式サイト「出版書籍のご案内」ページ≫ よりご購入いただけます。(一部1,000円税込/送料別)
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