平成28年4月の法話(1)/伊與田暁史師/お説教の詳細ページ/浄土宗西山深草派布教師会

浄土宗西山深草派 総本山誓願寺


 

 


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平成28年4月の法話(1)/伊與田暁史師


平成28年4月の法話(1)/伊與田暁史師の画像1
【担 当】 伊與田暁史 師 〔愛知県西尾市 明正寺 住職〕
【御 題】 「人間という奇跡を生きる」

 


 

 


 

 

38億年前に地球の水中に生まれた単細胞生命が人類に成るまでに、3回の大躍進があった。

第1は5億年前。生物が目を持ったことである。地球に誕生した生命は30億年以上もの間、単細胞生命のままだった。何故か遺伝子が突如4倍になり、遺伝子が新しい機能を進化させ、目を持った生物が突如現れた。よく見える目の獲得は生存競争における優位性の獲得であった。

第2は哺乳類が胎盤を獲得したこと。胎内で育てることで赤ちゃんの生存率が高まったのである。1億7千万年前、哺乳類に強力なウイルスが流行した。多くは命を落としたが、生き残った生殖胎にウイルスの遺伝子が組み込まれ、胎盤が出来た。ウイルス感染の逆境が生命を進化させたのだ。

第3は哺乳類が大脳新皮質を獲得、脳が大きくなったこと。脳の形成に働く遺伝子にはアクセルとブレーキの役割をするものがある。一時的ブレーキ遺伝子が故障し、脳細胞が増殖。遺伝子の不慮の事故で、人類は言葉と知性を獲得したのである。

このように信じられない偶然が積み重なって生命は進化してきたのだ。
私たちは妻の出産や子育てを通して、小さな魚のような形をしていた胎児が僅か十月十日の間に38億年の進化の歴史を経て「おぎゃー!」と誕生してくるドラマに大きな驚きと感動を覚えたはずです。

元祖法然上人は「六道をめぐるに人身をうくる事は、梵天より糸をくだして大海の底なる針のあなをとおさんがごとしといえり。」...『衆生がそれぞれの行いによって、生まれてゆく、六種の世界(地獄・餓鬼・畜生・阿修羅・人間・天上)の、たまたま人間界に生まれたことは、天上から糸をつり下げて、大海の底に沈んでいる針の穴に、その糸を通すほど、容易なことでない』と教えて下さっているのです。人間界に人間として生まれることは、並大抵のことでなく、よほどの良縁によるお陰であります。自殺や他殺の悲しいニュースが連日流れる。生まれてきたのが当たり前と考え、この人生をもてあましている事は誠に許されない事です。

私たち一人ひとりの生命は無数の奇跡によって織り成され、先祖代々の命を受け継ぎ、今ここに生かされていることを知り、お念仏を申し自らの生を全うしようではありませんか。

南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏。

 

 

このたび、当布教師会より法然上人800回大遠忌記念事業として法話集「法然さまからのお手紙とお歌」を出版いたしました。


法然さまが「黒田の聖人(ひじり)」に宛てた一紙小消息を、管長猊下お手ずから、わかりやすく現代の言葉に置き換えていただき、それを一区切りづつ布教師会の布教師がお説教として書き下ろしました。 また法然さまの代表的なお歌を八首取り上げ、それをテーマとしたお説教も掲載しております。

この本のお求めは、≪総本山誓願寺公式サイト「出版書籍のご案内」ページ≫ よりご購入いただけます。(一部1,000円税込/送料別)


 


 

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