平成24年8月の法話/神谷得祐師
【担 当】 神谷得祐 師 〔愛知県碧南市 海徳寺 住職〕
【御 題】 「おもいやりの心」
よくご老人が話の中で「最近一年一年が短く感じられるなぁ」と言っておられます。
そんな年令に私も入って来た様な気がします。
この一年、人様のお役に立っていただろうか、ご迷惑ばかりかけていなかっただろうかと、述懐する今日この頃であります。
私達の世の中は、よく考えてみますと助け合いの世の中です。 夫婦、親子、兄弟、みんなそうです。 目には見えない自然のお恵み、あるいは太陽の熱の恵み、雨の恵みもそうです。 そして大勢の人様によって支えられている、実は生かされているんだと言う思いを、決して忘れてはならないと言う事です。
元祖法然さまは、八百年前より、お念仏「南無阿弥陀仏」は決してお願いの念仏であってはならない。感謝の念仏でなければならない。とおっしゃっています。 私どもは「病気が治りますように、勉強ができますように、もうかりますように」とついついお願いになってしまいます。 そうではなくて、毎日毎日の平凡な日々の暮らしそのものが感謝であるわけです。
朝起きて食事がおいしく食べられるのも感謝、仕事を終え、風呂に入って、夕食を食べる、これも感謝の何ものでもありません。 安心して寝させてもらうのも感謝です。
四六時中眼には見えない大きなお恵みによって支えられ、生かされている自分の身がありがたい。 ですから感謝、感謝の毎日であります。 そんな感謝の毎日であると気付いた時、私どもは、お互いに助け合わねば、という心、相手に対する思いやりの心が出てくるわけです。 おれがおれがという心を引っ込め、相手の立場に立って物事を考える、という事です。
お釈迦様が説かれた「四苦八苦」では、人生そのものが苦」であるという。 私どもはそんな中で、お互いに苦労しながらも励まし合いながら日々の暮らしの中で助け合い、相手を思いやる心はどんなにか人の心の支えとなる事でしょう。
人に対する尊敬の心、物に対する感謝の心、そんな中で協力し合いながら、生きていくのが、私達の世の中の本当の姿ではないでしょうか。
仏様の願いは、お互いに手を取り合い、助け合って幸福な日暮し、平和な世の中を作ることにあります。 どうぞお一人、お一人が心をしっかり保ち、おもいやりの心をもって健康で元気な毎日を過ごして行きましょう。
合掌 十念
このたび、当布教師会より法然上人800回大遠忌記念事業として法話集「法然さまからのお手紙とお歌」を出版いたしました。
法然さまが「黒田の聖人(ひじり)」に宛てた一紙小消息を、管長猊下お手ずから、わかりやすく現代の言葉に置き換えていただき、それを一区切りづつ布教師会の布教師がお説教として書き下ろしました。 また法然さまの代表的なお歌を八首取り上げ、それをテーマとしたお説教も掲載しております。
この本のお求めは、≪総本山誓願寺公式サイト「出版書籍のご案内」ページ≫ よりご購入いただけます。(一部1,000円税込/送料別)
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