「冥加」ということ/平成29年4月の法話(2)
【担 当】 岩瀬賢良 師 〔愛知県常滑市 東龍寺 住職〕
【御 題】 「冥加」ということ
私が住職をさせて頂いているお寺は、非常に歴史は古く、既に1150年以上が経過しているお寺であります。
また、時の権力者からも守られてきました。織田信長公から保護を受け、また徳川家からも大切にされてきました。特に徳川家とのつながりは深い縁のあるお寺でもあります。家康公を二度かくまったと伝えられています。といいますのは、当時、たまたま家康公のいとこに当たる方がこのお寺の住職であったからだと思われます。一度目は桶狭間の戦いで、こちらに逃れてきてかくまわれ、二度目は本能寺の変の時に、急きょ大阪から三河の岡崎に帰る途中、伊賀越えをして伊勢湾を渡り、このお寺で数日を過ごした後、岡崎に帰ったといわれております。
お互いがいとこどうしの間柄であれば、信頼できる関係であろうと思われますから、信憑性としては高いと思う訳であります。そして後に徳川家から、立派な絵の軸を何幅か拝領し、今も大切に保管しております。
時移り、江戸時代の末期には、このお寺のある町で、沢山の家が燃える火災が二度あったそうで、その火災で七つある塔頭寺院の全てが延焼してしまいましたが、不思議なことに、本寺であるこのお寺と総門は、延焼を免れたと伝えられています。本当に目には見えないのですけれども、何か大きな力によって守られていたのでは・・・、と思わざるを得ないのです。また、このお寺はすぐそばに海がありますので、台風による被害を何度も受けてきましたが、大きな被害、大難になるところが、心配していたほど大した被害にならず、小難でおさまった・・・、ということもあるのです。
目には見えない力によって守られているということを、仏教では「冥加(みようが)」と言っております。日頃、何気なく過ごしている私たちですが、一日一日を無事に穏やかに暮らしていられるのは、それぞれの人の心配りはもちろんあると思いますが、諸仏諸菩薩やご先祖様によって守られているのだ、と受け止め、手を合わせる生活をしていきたいものです。
このたび、当布教師会より法然上人800回大遠忌記念事業として法話集「法然さまからのお手紙とお歌」を出版いたしました。
法然さまが「黒田の聖人(ひじり)」に宛てた一紙小消息を、管長猊下お手ずから、わかりやすく現代の言葉に置き換えていただき、それを一区切りづつ布教師会の布教師がお説教として書き下ろしました。 また法然さまの代表的なお歌を八首取り上げ、それをテーマとしたお説教も掲載しております。
この本のお求めは、≪総本山誓願寺公式サイト「出版書籍のご案内」ページ≫ よりご購入いただけます。(一部1,000円税込/送料別)
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