「生きるための南無阿弥陀仏」令和元年10月の法話
【担 当】 杉浦正志 師 〔愛知県岡崎市 東向寺 住職〕
【御 題】 「生きるための南無阿弥陀仏」
私の檀家さんの月参りの出来事です。
いつもの様にお参りを終わり、お茶をいただいておりますと、今日の主役の85歳のおばあさんが、『和尚さん私の命は、来月で終わりなんですよ。』と、にこやかにお話されました。
私は突然のお話で『え・・・』としか言うことが出来ませんでした。3年前に手術をされたのは知っていましたが、元気そうでしたのでそんなに悪いとは分かりませんでした。
今年の春に余命半年と言われたそうです。おばあさんは、時々歩くことが出来ないぐらい痛みがあるあるそうで、いままでは、布団の中で静かに痛みが和らぐのを我慢していたそうですが、ある日、亡くなったおじいさんの事を思い出しお仏壇まではって行き、手を合わせて『南無阿弥陀仏』と称え続けると急に痛みが和らぎ無くなりました。
そのお念仏のお願いは、自分の息子、お嫁さん、孫さんのことだけを想い大事な自分のことは想わなかったそうです。それからは、家族の事を想い、仏様を信じ、南無阿弥陀仏と称えさせて頂くことが生きがいであり、心が落ち着きます。と言われ、今は自分の病気の不安もなくなり、体も元気になり、毎日お念仏出来る生活がありがたく思い、楽しいそうです。
西山上人様のお歌に『南無阿弥陀、仏の御名と想いしに唱うる人の姿なりけり』とあります。今まさに、おばあさんが生きた仏様にみえました。
さらに言われました『ここの家の先代が、お仏壇にお参りして見える時、耳にした言葉が、私と同じ自分の事で無く、ただ家族の事だけを想い、お願いして、南無阿弥陀仏と称える姿。その意味がようやく、わかりました。』と言われました。
改めて私は、このおばあさんのお導きにより、私たちは、一人ではなく、仏様、ご先祖様から変わる事なく、想われていることに、気ずかされました。
10月になりましたが、まだ暑い日が続くみたいです。皆さんも体にご自愛いただき元気にお過ごしください。
このたび、当布教師会より法然上人800回大遠忌記念事業として法話集「法然さまからのお手紙とお歌」を出版いたしました。
法然さまが「黒田の聖人(ひじり)」に宛てた一紙小消息を、管長猊下お手ずから、わかりやすく現代の言葉に置き換えていただき、それを一区切りづつ布教師会の布教師がお説教として書き下ろしました。 また法然さまの代表的なお歌を八首取り上げ、それをテーマとしたお説教も掲載しております。
この本のお求めは、≪総本山誓願寺公式サイト「出版書籍のご案内」ページ≫ よりご購入いただけます。(一部1,000円税込/送料別)
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