幸せを願う思考/令和5年5月の法話
【担 当】 長谷川晃雄 師 〔京都市 妙心寺住職〕 【御 題】 「幸せを願う思考」
新緑の清々しい季節となりました。コロナ、コロナとネガティブな思考であった三年間からようやく解放され、心も清々しく過ごしていける!そんな時節になってまいりました。
さて、先ほど申しました「思考」ですが、私が最近出会った素晴らしいと感じた金言をご紹介したいと思います。貧困や病に苦しむ人々の救済に生涯をささげ、ノーベル平和賞を受賞した、人道援助の活動家として象徴的な存在であった、マザー・テレサの言葉です。
思考に気をつけなさい
それはいつか言葉になるから
言葉に気をつけなさい
それはいつか行動になるから
行動に気をつけなさい
それはいつか習慣になるから
習慣に気をつけなさい
それはいつか性格になるから
性格に気をつけなさい
それはいつか運命になるから
さぁ、皆さまこの言葉を聞かれてどう感じられましたか?色々と思い当たる節があったのではないでしょうか。我々の思考がそのまま運命になっていく、そう言うことなのです。
今から約八百五十年前、法然上人はお念仏をお称えすることを主とする仏道、浄土宗をお開きになられました。その意図は、生きとし生けるものがお念仏によって救済されることで、「皆が平等に幸せに生きていけますように・・・」という強い願いがこめられております。マザー・テレサも同じ思いだったのでしょう。
お念仏「南無阿弥陀仏」には「ありがとう」「ごめんなさい」「おかげさまで」の三つの思いが込められています。
「ありがとう」とは…我々は常に周りの皆に支えられて生かされています、そのことに感謝の気持ちを持つこと。「ごめんなさい」とは…色々と至らぬ私ですが、という謙虚な気持ちを持つこと。「おかげさまで」とは…両親、祖父母、ご先祖さま、みんながその時代を一生懸命に生きてくれたおかげで今の自分が存在している、正に仏さまのお導きによって生かされていることに気付くことです。
法然上人の御遺訓、一枚起請文には「ただ一向(いっこう)に念仏すべし」とございますが、これら三つの思いがつまったお念仏をただただ真面目にお称えすることによってやがて心に余裕、心に幅が出来て、仏さまを信じる気持ちが湧き、だんだんと『皆が幸せに』という思考になっていきます。この思考がその人の言葉になり、行動になり、習慣になり、性格になり、幸せな運命になっていくのです。
我々は、自分自身も、そして周りの皆も幸せにしていくチカラを持っていることを忘れてはなりません
合掌十念
このたび、当布教師会より法然上人800回大遠忌記念事業として法話集「法然さまからのお手紙とお歌」を出版いたしました。
法然さまが「黒田の聖人(ひじり)」に宛てた一紙小消息を、管長猊下お手ずから、わかりやすく現代の言葉に置き換えていただき、それを一区切りづつ布教師会の布教師がお説教として書き下ろしました。 また法然さまの代表的なお歌を八首取り上げ、それをテーマとしたお説教も掲載しております。
この本のお求めは、≪総本山誓願寺公式サイト「出版書籍のご案内」ページ≫ よりご購入いただけます。(一部1,000円税込/送料別)
前へ
次へ
前の画面に戻る
facebook area