一反の反物/平成29年9月の法話(2)
【担 当】 渡邉妙静 師 〔愛知県西尾市 清海寺 徒弟〕
【御 題】 「一反の反物」
お釈迦様はおっしゃいました。「生まれた者どもは死からのがれる道はない。」と。私ども一人一人顔が違うように命の長さも一人一人違います。仏様からいただいた命それを「定命」といいます。定めた命と書いて「定命」定命が尽きるまで死にません。
何一つ浄土へもって行くことが出来ません。そこで一生かけて一反の反物を織ることにしましょう。ふつう一反の反物で一枚の着物ができます。今の若い方は身長も高いので一反では無理なこともあります。マツコ・デラックスあの方のお着物は二反の反物がいるそうです。ところで一反の長さはどのくらいなのかご存知でしょうか。一反は10m60㎝ 100年の定命いただいている人は一日0.29mm織れば一生で一反の反物が織りあがります。
反物はたて糸が切れない限り横糸が何度切れても結び直し織り続けることが出来ます。たて糸は阿弥陀様のお慈悲の心、絶対に切れることがありません。横糸は私どもの心です。悲しい時、苦しい時、心が折れたとき横糸は切れてしまいます。横糸が切れても何度でも切れた糸を結び直し阿弥陀様の絶対切れないというたて糸に導かれ反物を織り続けるのです。
結び目だらけの糸でも織り上げるとアラ不思議。その結び目が今度は趣のある模様となって浮かびあがりとても素敵な反物となりましょう。
阿弥陀様のお慈悲により絶対切れないたて糸をいただき一日一日決められた寸法を一生かけて織り続けるのです。一日も休むことなく一日織りあげる寸法も一人一人違い、また模様も一人一人違い世界にただ一つあなただけの反物。それは定命の尽きた時晴れ着となります。晴れ着を着て行き先は、阿弥陀様の待つ極楽浄土です。
ではどうすれば極楽浄土へ行けるかと言いますと阿弥陀様がはるか昔、法蔵菩薩でいらした時衆生の苦悩を救うため四十八の誓願をお誓いになりました。そして四十八願すべてかなわなければ如来にならないと決意なさり修行を続け悟りを得て阿弥陀如来となられたのです。ゆえに四十八願はすでに叶えられております。四十八願の中の中心となすもの、それが第十八願「念仏往生」この願が最も強く一切衆生を救済して下さるのですが、それにはただ一つ「念仏」をするという条件があるのです。念仏をすることにより阿弥陀様と親しく結びつくとお説きになってございます。
朝に夕にお念仏をあげて、定命がつきた時あなたが一生かけて織りあげた一反の反物で作りあげた晴れ着を身にまとい極楽浄土へと旅立ちましょう。そこには阿弥陀様がまっていてくださいます。
このたび、当布教師会より法然上人800回大遠忌記念事業として法話集「法然さまからのお手紙とお歌」を出版いたしました。
法然さまが「黒田の聖人(ひじり)」に宛てた一紙小消息を、管長猊下お手ずから、わかりやすく現代の言葉に置き換えていただき、それを一区切りづつ布教師会の布教師がお説教として書き下ろしました。 また法然さまの代表的なお歌を八首取り上げ、それをテーマとしたお説教も掲載しております。
この本のお求めは、≪総本山誓願寺公式サイト「出版書籍のご案内」ページ≫ よりご購入いただけます。(一部1,000円税込/送料別)
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