努力と反省/平成29年3月の法話(1)
【担 当】 鵜飼泉道 師 〔京都市中京区 極楽寺 住職〕
【御 題】 「努力と反省」
私たちには怠ってはいけない2つの行いがあります。
それは命ある限り努力と反省を続けることです。
お釈迦様はその生涯の遺言ともいうべき言葉として、「修行僧たちよお前たちに告げよう。諸の事象は過ぎ去るものである。怠ることなく修行を完成なさい。(『ブッダ最後の旅―大パリニッバーナ経―』中村元訳 岩波文庫)」と、述べておられます。
五十五年にわたる布教を続けられ、八十年の生涯を閉じようとされるお釈迦様の最後の言葉は、“努力を重ねなさい”との教えでした。
私たちにお念仏の教えを示していただいた中国のお祖師 善導大師様はその書物『般舟讃』の最後の一文を次の言葉で閉じられています。「行者よ努力せよ 努力せよ。勤めてこれを行ずべし。常に慚愧(ざんき)の心をもち、仰いで仏恩を謝せよ。」
善導大師様は私たちに努力を重ねなさいと述べられ、次に慚愧即ち反省の心の大切さを説かれました。そして反省の心に続いて、仏すなわち阿弥陀様の恩に感謝しなさいと説かれています。努力を重ね、反省の心を持つように努めた私たちであっても、まだまだ仏の目から見れば努力も反省も足りないのです。日々の務めが足りない自分を知ったとき、阿弥陀様の救いの光が見えてきますと、教えてくださいました。
元祖法然上人様は「ただ一向に念仏すべし」と、示していただきました。ただ一向に念仏するとは、善導大師様の「仏恩を謝せよ」の教えを具体的に述べられたものではないでしょうか。
お釈迦様の導きは、中国・日本のお祖師様を通じて脈々と私たちに伝わってきました。
生きている限り日々の努力と反省を忘れない人生を送りなさい。それがこの世に生をうけた私たちの務めですよと諭されています。
阿弥陀さまのお慈悲に包まれている私たちだからこそ、努力と反省の生活に励んで努めてください。
南無阿弥陀仏
このたび、当布教師会より法然上人800回大遠忌記念事業として法話集「法然さまからのお手紙とお歌」を出版いたしました。
法然さまが「黒田の聖人(ひじり)」に宛てた一紙小消息を、管長猊下お手ずから、わかりやすく現代の言葉に置き換えていただき、それを一区切りづつ布教師会の布教師がお説教として書き下ろしました。 また法然さまの代表的なお歌を八首取り上げ、それをテーマとしたお説教も掲載しております。
この本のお求めは、≪総本山誓願寺公式サイト「出版書籍のご案内」ページ≫ よりご購入いただけます。(一部1,000円税込/送料別)
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