平成24年9月の法話/榊原慶憲師
【担 当】 榊原慶憲 師 〔京都市伏見区 真宗院 住職〕
【御 題】 「八月はお盆の月です。」
八月はお盆の月です。
時代と共に国民的行事も随分かわりました。 けれども、お盆の行事は昔とかわりません。 目連尊者がお釈迦様のみ教えによって、亡きお母様のために営んだ法要が「孟蘭盆」(うらぼん)お盆であります。 そうしてみるともう三千年つづく行事です。 インドから中国朝鮮を経て、日本に仏教が渡って来ると共にお盆が行なわれるようになりました。
明治天皇様の御製(ぎょせい)に『今も世にあらばと思ふ人をしも、この暁の夢に見しかな』とあります。 「あの人はどうしているだろう。 亡くなってからもう何年になるが、今生きておられたらなあ。 明日はお盆のお施餓鬼の日だ。 あの人が帰ってこられるのだ」そういうことを思って寝ると、眺にその人の夢を見るのです。
お盆には今は亡き人が、この世に里帰りをされる。 お家の前で「迎え火」をたけばその煙を道案内にしてご先祖のお精霊(しょうりょう)が帰って来られる。 そして帰って来やすいように胡瓜(きゅうり)や茄子(なす)のお馬を用意する。 精霊棚(しょうりょうだな)には親は何が好きだった、倅は何が好きだったと好物をお供えする。 この美しい人情のあらわれは、時代が変わっても決してこわれることのない行事としてつづくのです。
他宗教の人にはこのお供物を上げる意味が通じません。 「この素麺やお団酒は誰が食べるのですか?亡くなったものは天国へ行ってしまって、もう帰ってこないのでしょう」 そうではないのです。 どこへいっておられても年に一度はこの世に戻ってくるという、愛情のつながりが、何時までも切れないのです。
『盆はうれしや別れた人も はれてこの世に逢いに来る』
菩提寺の住職が皆さんのお家で、ご回向のお経をよみます。 これを「お盆の棚経」といいます。 読経のときには、ご家族一緒に合掌礼拝する習慣をつけたいものです。
十念
このたび、当布教師会より法然上人800回大遠忌記念事業として法話集「法然さまからのお手紙とお歌」を出版いたしました。
法然さまが「黒田の聖人(ひじり)」に宛てた一紙小消息を、管長猊下お手ずから、わかりやすく現代の言葉に置き換えていただき、それを一区切りづつ布教師会の布教師がお説教として書き下ろしました。 また法然さまの代表的なお歌を八首取り上げ、それをテーマとしたお説教も掲載しております。
この本のお求めは、≪総本山誓願寺公式サイト「出版書籍のご案内」ページ≫ よりご購入いただけます。(一部1,000円税込/送料別)
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