平成18年11月の法話/杉田道秋師
【担 当】 杉田道秋 師 〔愛知県豊川市 立信寺 住職〕
【御 題】 「日にち薬」
自分の子供や孫が自分より早く死ぬ。 それを逆縁と言います。
お釈迦様のお示し下された愛別離苦と言う苦しみの中で、
逆縁くらい切なく、辛いものはありません。
世の中には、そうした逆縁に泣いている人、苦しんでいる人は大勢おられます。
そして、どんな悲しみや苦しみも、決していつまでも続くことはないのであります。
いつかは、必ず終わる時がやってまいります。
物事はすべて移り変わる。 仏教ではこれを「無常」と言います。
「常」が「無い」と言うのが無常。 同じ状態は続かないということであり、
仏教の根本思想であります。
花が咲けば実がなる。 そして、その実が土に落ちて芽が出る。
苗木はやがて大きな樹になって、また花を咲かせます。
世の中は絶えず移り変わっているのです。
どんなに厳しい冬でもやがて春が来るように、
どんなに暗い夜でもやがて朝がくるように、
悲しみや苦しみには終わりがあるのです。
だからこそ、私たちは生きて行けるのです。
京都には「日にち薬」と言う言葉があります。
どんな悲しみや苦しみでも、時間と月日が忘れさせ、癒してくれる。
それを「日にち薬」と言いうのであります。
担当は杉田でした。
合掌 十念
このたび、当布教師会より法然上人800回大遠忌記念事業として法話集「法然さまからのお手紙とお歌」を出版いたしました。
法然さまが「黒田の聖人(ひじり)」に宛てた一紙小消息を、管長猊下お手ずから、わかりやすく現代の言葉に置き換えていただき、それを一区切りづつ布教師会の布教師がお説教として書き下ろしました。 また法然さまの代表的なお歌を八首取り上げ、それをテーマとしたお説教も掲載しております。
この本のお求めは、≪総本山誓願寺公式サイト「出版書籍のご案内」ページ≫ よりご購入いただけます。(一部1,000円税込/送料別)
前へ
次へ
前の画面に戻る
facebook area